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牛の病気にはどんな種類がある?発生しやすい代表例を解説

牛の健康を保つことは、生産性や品質を維持するうえで欠かせない要素です。風邪や下痢などから、発生すれば大きな被害につながる伝染病まで、牛がかかりやすい病気にはさまざまな種類があります。

原因や症状をあらかじめ知っておくことで、早期発見や適切な対応につながります。とくに近年は、夏の暑さが引き金となる病気も少なくはありません。本記事では、牛に多い病気の種類や原因、予防のポイントをわかりやすく紹介します。

代表的な牛の病気:①牛の三大疾病

牛がかかりやすい病気のなかでも、とくに発生頻度が高く、生産性への影響も大きいのが「乳房炎」「蹄病(ていびょう)」「繁殖障害」です。これらは「牛の三大疾病」と呼ばれ、酪農や肥育の現場で古くから予防や対策が重視されてきました。

3つの病気は、それぞれ原因が異なるように見えますが、共通する背景があります。夏場の暑さや湿度の高さです。実際に、夏から秋にかけて三大疾病の発生が増える傾向にあります。高温多湿な環境による暑熱ストレスが、牛の体に負担をかけ、病気の発生につながっているといえるでしょう。

それぞれの疾患の特徴を見ていきます。

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乳房炎

乳房炎は、細菌などが乳腺に入り込むことで炎症を起こす病気です。とくに夏の高温多湿な時期は、細菌が増殖しやすいうえ、暑熱ストレスによって牛の免疫機能が低下し、発症リスクが高まる傾向があります。目に見える症状が出ない潜在性乳房炎でも、乳中の体細胞数が増加し、乳質の低下につながることがあるため、注意が必要です。

乳房炎が発生すると、乳汁の廃棄や乳量の低下につながるなど、生産性にも影響します。日ごろから搾乳前後の乳頭消毒や牛床の清掃を行い、暑熱ストレスを軽減することが大切です。

出典:釧路総合振興局「乳房炎は夏に増える! 今こそ見直したい管理のポイント」

蹄病

蹄病は、牛の歩行を支える蹄(ひづめ)に炎症や変形が生じる病気です。症状が進行すると歩行が困難になり、採食量の低下や発情の発見遅れにつながるほか、空胎日数が延びるなど、繁殖成績にも影響を及ぼします。

蹄病を防ぐには、蹄そのものの状態だけではなく、牛が日常的に過ごす環境にも目を向ける必要があります。

湿った牛床や糞尿による汚れは、蹄周辺の皮膚を傷め、蹄病が発生しやすい環境につながります。また、暑熱ストレスによって横臥時間が短くなり、牛が長時間立った状態になることも、蹄底潰瘍(ていていかいよう)や趾間皮膚炎(しかんひふえん)、蹄葉炎(ていようえん)などの発生・悪化を招くことになりかねません。

牛床の乾燥状態を保ち、糞尿をこまめに除去するなど、蹄を清潔な状態に保つことが重要です。あわせて、暑熱ストレスを軽減できる環境を整え、定期的な削蹄によって蹄の形状を適切に維持することも、蹄への負担を抑えるうえで重要になります。

繁殖障害

繁殖障害とは、発情が来ない、受胎しにくい、子宮に炎症が起こるなど、繁殖に関わるさまざまな不調をまとめた呼び方です。繁殖障害が生じると、受胎までに時間がかかり、子牛の生産サイクルにも影響が及びます。

なかでも分娩後の牛は、乳量の増加に対して採食量が追いつかず、エネルギー不足に陥りやすい時期です。暑熱ストレスや、体脂肪が急激に分解されることで起こるケトーシスなどが重なると、代謝のバランスが崩れ、卵巣や子宮の働きに影響する場合があります。

また、暑熱ストレスによって発情行動が弱まり、発情の兆候を見つけにくくなることもあります。発情の見逃しは受胎の遅れにつながり、空胎日数が延びる要因にもなります。繁殖成績を安定させるには、暑熱ストレスを軽減する環境を整えるとともに、分娩後の栄養状態を適切に管理することが大切です。

代表的な牛の病気:②胃腸の病気

牛には4つの胃があり、なかでも第一胃と第四胃に関わる病気が多く見られます。代表的なものが、第一胃にガスがたまる第一胃鼓脹症と、第四胃の位置がずれてしまう第四胃変位です。

  • 第一胃鼓脹症

第一胃内で発生したガスがげっぷとして排出されず、胃が異常に膨らむ病気です。「遊離ガス性鼓脹症」と「泡沫性鼓脹症」の2種類があります。

遊離ガス性は、食道の閉塞や第一胃の運動低下などによって、ガスを排出できなくなることで起こります。一方、泡沫性は、濃厚飼料の多給や急激な飼料の変化などによって、第一胃内に細かい泡が生じ、ガスが排出されにくくなる病気です。

  • 第四胃変位

分娩によって胃の位置関係が変わることに加え、分娩前後の飼料摂取量の低下や血液中のカルシウム濃度の低下が主な原因とされています。分娩前に太りすぎていた牛の発症リスクが高いことも特徴です。

第四胃が左側にずれる「左方変位」と、右側にねじれる「右方変位」があり、なかでも右方変位は血流の障害をともなうため、緊急の外科的処置が必要になることもあります。

どちらの病気も、症状に気づかず放置すると、食欲不振や体力の低下にとどまらず、重篤化するおそれがあります。

代表的な牛の病気:③子牛の時期の風邪と下痢

生まれたばかりの子牛は、免疫機能が十分に発達していないため、風邪を引いたり下痢を起こしたりしやすい時期です。

栄養不足や寒暖差によるストレス、不衛生な敷料などが重なると、病気のリスクが高まります。原因となる病原体も、ウイルスから細菌までさまざまです。見た目の症状だけでは原因を特定しにくく、症状が長引けば発育不良につながるほか、下痢による脱水が重症化すると命に関わることもあります。

下痢が見られた場合は、脱水状態を確認しながら水分や電解質を補給し、必要に応じて獣医師の診察を受けることが大切です。

発症リスクを抑えるには、カウハッチなどを利用して子牛を個別に管理し、温度や湿度、換気にも配慮することが予防策のひとつです。あわせて、季節に応じた環境管理も欠かせません。冬場は保温、夏場は適切な換気や暑熱対策を行い、子牛が過ごしやすい環境を維持することが求められます。

また、母牛への分娩前のワクチン接種によって、初乳を介した子牛への免疫付与を促す方法もあります。生後早期に十分な量の初乳を与え、免疫グロブリンを取り込ませることも、子牛の健康管理において重要です。

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代表的な牛の病気:④伝染病

伝染病が発生すると、牛の殺処分や周辺農場への移動制限などが行われ、生産現場や地域の畜産業に大きな影響を及ぼすことがあります。国内では、家畜伝染病予防法にもとづき、まん延防止のために必要な措置の程度などに応じて、対象となる疾病を「家畜伝染病」と「届出伝染病」に分類しています。これらをあわせて「監視伝染病」と呼びます。

さらに、これまで知られていない感染症の発生に備えて「新疾病」という区分も設けられています。ここでは、これらの分類に沿って代表的な病気を紹介します。

出典:e-Gov法令検索「家畜伝染病予防法」

家畜伝染病(法定伝染病)

家畜伝染病は、発生した場合に、まん延を防止するため殺処分や移動制限などの措置がとられる病気です。現在、29種類の家畜伝染病が指定されています。代表的なものに、次のような病気があります。

  • BSE(牛海綿状脳症)

プリオンという異常なタンパク質が脳に蓄積することが原因で牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などの症状が現れ、死に至る病気です。肉骨粉を含む飼料が原因のひとつとされていましたが、現在は、肉骨粉を含む家畜飼料や肥料の製造と販売は禁止されています。

  • 口蹄疫

水疱性の症状が特徴で、非常に強い伝播力を持つウイルス性疾患です。発熱や元気消失、口の中や蹄の付け根などに水ぶくれができるなどの症状が現れます。水ぶくれによる痛みから、足を引きずることもあります。子牛が発症すると死亡することもあります。

  • 結核、ブルセラ症、ヨーネ病

いずれも慢性的に進行する細菌性疾患です。結核は、咳、食欲不振などの症状が現れ、集団感染を起こしやすい病気です。ブルセラ症は、流産、早産、死産といった症状が現れます。ヨーネ病は、慢性的な下痢や削痩などの症状が現れ、重症化すると衰弱することがあります。

  • ランピースキン病

蚊やハエ、ダニなどの吸血昆虫が媒介するウイルス性の病気で、皮膚に結節や水腫ができ、発熱や乳量の低下をともなうのが特徴です。令和6年11月に福岡県で国内初の発生が確認され、その後、令和8年の家畜伝染病予防法の改正によって、届出伝染病から家畜伝染病へと分類が変更されました。

出典:農林水産省「ランピースキン病に関する情報」

出典:農林水産省「家畜伝染病予防法の改正(令和8年)について」

届出伝染病

届出伝染病は、家畜伝染病に準じて早期の把握と届出が義務づけられている病気で、70種類が指定されています。代表的なものに、次のような病気があります。

  • 牛伝染性リンパ腫

牛の届出伝染病のなかでもっとも多いのが牛伝染性リンパ腫です。牛白血病ウイルス(BLV)によってリンパ球が異常に増殖する病気で、かつては牛白血病と呼ばれていました。食欲不振、体重減少、発熱、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、死に至ることもあります。長期間無症状のことが多く、早期発見が難しい傾向があります。

  • サルモネラ症

サルモネラ菌の感染によって起こる病気です。汚染された飼料や水、糞便などを介して感染が広がるほか、感染動物との接触によってうつることもあります。発熱や下痢などの症状が現れ、症状が重い場合には脱水が進み、死亡するケースもあるほか、肺炎や流産を引き起こすこともあります。人にも感染する可能性があります。

  • 破傷風

土壌などに広く分布する破傷風菌が傷口から感染して発症します。主な症状は、歩行の異常、嚥下困難、流涎、全身の硬直やけいれんなどです。重症化すると治療が難しくなることもあります。

新疾病

新疾病とは、症状や治療の経過などから、既知の疾病とは異なると認められる伝染性疾病を指す法律上の区分です。新たな伝染性疾病が疑われる場合、獣医師が都道府県知事に届け出る義務があります。

子牛の下痢の原因のひとつである牛コロナウイルスや牛ロタウイルスは、この新疾病に含まれると誤解されることがあります。しかし、どちらも1970年代から国内で確認されており、原因となるウイルスが明らかになっているほか、症状に応じた治療や対策が行われています。分類上は、子牛や成牛に見られる代表的な感染性消化器病として扱われています。

家畜伝染病、届出伝染病、新疾病のいずれであっても、まずは正しい分類を知ることが、無用な混乱を避ける近道です。そのうえで、日ごろから牛の免疫力を保ち、農場を衛生的に保っておくことが、伝染病を遠ざける一番の備えになります。

まとめ

乳房炎や蹄病、繁殖障害、胃腸の病気、子牛の下痢など、牛の病気にはそれぞれさまざまな原因があります。そのなかには、夏場の暑さや湿った牛舎環境が発生や悪化に影響するものもあります。日ごろから牛の様子や牛舎の状態を観察し、小さな変化を見逃さないことが大切です。病気の早期発見・早期治療はアニマルウェルフェアの観点からも重要といえます。

衛生管理やワクチン接種などの対策に加え、牛が過ごす環境そのものを整えることも重要です。とくに暑熱対策では、換気や送風機だけではなく、屋根からの輻射熱にも目を向ける必要があります。屋根が受けた熱が牛舎内に伝わることで、牛舎内の温度上昇につながるためです。

湧蒼塗装研究所では、牛舎における遮熱塗装を承っております。屋根からの輻射熱を抑えることは、牛舎内の温度上昇をやわらげ、暑熱ストレスの軽減や快適な飼育環境づくりにつながります。無料でお見積もりを承っておりますので、牛舎の暑さ対策をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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