牛の体重は平均でどのくらい?肉牛・乳牛の種類ごとの目安を紹介

牛の体重は、品種や月齢によって大きく異なります。見た目だけでは、実際の体重はイメージしにくいものです。黒毛和種やホルスタイン種など、よく知られている品種でも、成長段階ごとの体重の目安を正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、肉牛・乳牛それぞれの品種ごとの平均体重の目安を紹介します。あわせて、体重の測り方や体重が増えないときに見直したいポイントをわかりやすく解説します。
牛の種類ごとの特徴と体重目安
牛は、大きく肉牛と乳牛に分けられます。品種によって、体格や成長のスピードもさまざまです。ここでは代表的な品種ごとに、体重の目安となる数値を紹介します。ただし、これらはあくまで目安であり、個体差や飼育環境によって体重に幅が出る点は注意してください。
肉牛
肉牛には、和牛と呼ばれる4品種のほか、乳牛の雄を肥育したものや、和牛と乳牛を掛け合わせたものなど、複数の系統があります。
黒毛和種
黒毛和種は、和牛の中でもっとも飼育頭数が多く、和牛全体の9割以上を占める品種です。脂肪交雑、いわゆる「サシ」が入りやすいことが特徴です。
出生時の体重はおよそ30kgですが、肥育を始める時期にはおよそ307kg、肥育終了時の約29か月齢にはおよそ808kgまで成長します。繁殖に用いる雌牛は、成熟するとおよそ495kgになります。
褐毛和種
褐毛和種は、熊本県と高知県を中心に飼育されている和牛で、名前のとおり赤みがかった毛色が特徴です。粗い飼料でもよく育つ丈夫さがあり、黒毛和種と比べて体格が大きくなる傾向があります。肥育を終える約25か月齢の体重はおよそ801kgで、繁殖に用いる雌牛は、成熟時におよそ583kgまで育ちます。
無角和種
無角和種は山口県萩市を中心に飼育されている希少な和牛で、名前のとおり角がなく、全身が黒色に近い毛でおおわれています。飼育頭数が少なく、統計も限られますが、山口県農林総合技術センターの調査では、出荷時は約20か月齢で平均およそ571kgというデータもあります。成熟した繁殖雌牛の体重はおよそ580kgが目安とされています。
出典:平成28年度山口県農林総合技術センター研究報告 第8号(平成29年3月)「無角和種の放牧を取り入れた高付加価値牛肉の生産技術」
日本短角種
日本短角種は、岩手県を中心とする東北地方や北海道で飼育されている品種です。夏は山で放牧し、冬は牛舎で育てる「夏山冬里方式」に適した丈夫な体をもち、粗い飼料でもよく育ちます。肥育を終える約28か月齢の体重はおよそ648kgで、繁殖に用いる雌牛は成熟時におよそ580kgに育ちます。
ホルスタイン種(乳用種肥育牛)
ホルスタイン種の雄の子牛は、乳を出す必要がないため、多くが去勢されたうえで肉用として肥育されます。乳用種由来の牛肉や、国産牛として流通する牛肉には、こうしたホルスタイン種の雄牛も含まれます。成長が早く、出生時はおよそ40kgですが、肥育を終える19か月齢前後にはおよそ781kgまで育ちます。
交雑種(F1)
交雑種は、黒毛和種の雄とホルスタイン種の雌を掛け合わせて生産される牛で、F1とも呼ばれます。和牛ほどの脂肪交雑は望めないものの、乳用種よりも肉質がよく、飼育コストと肉質のバランスに優れている点も特徴です。肥育を終える約26か月齢の体重は、およそ831kgです。
乳牛
乳牛は、生乳を生産するために飼育される品種です。日本ではホルスタイン種が大半を占めますが、ジャージー種やブラウンスイス種など、体格や乳質の異なる品種も飼育されています。
ホルスタイン種
ホルスタイン種は、日本で飼育されている乳牛のおよそ99%を占める代表的な乳牛です。生乳を生産する雌牛として飼育され、白と黒のまだら模様が特徴です。乳量の多さで知られています。
生まれたときの体重はおよそ40kgですが、成長は早く、約24か月齢にはおよそ510kgになります。出産と搾乳を重ねた経産牛になると、体重はおよそ600kgまで増えます。
ジャージー種
ジャージー種は、ホルスタイン種よりもひとまわり小柄な乳牛です。ホルスタイン種よりも乳量は少ないものの、乳脂肪分が高く、濃厚な生乳が得られます。出生時の体重はおよそ24kgで、成熟した雌牛ではホルスタイン種より軽く、およそ350〜450kgが目安です。
ブラウンスイス種
ブラウンスイス種はスイス原産の乳牛で、寒さに強い性質をもちます。国内での飼育数は多くはありませんが、乳質のよさから乳製品づくりに利用されています。成熟した雌牛の体重はおよそ550〜600kgが目安です。
牛の体重を測定・管理することの重要性
牛の体重を測る理由はひとつではありません。成長段階の判断や飼料の量の調整、健康状態の把握など、日々の飼育管理に役立つ情報を得られます。
- 成長段階の判断に役立つ
まず、肥育の切り替えや出荷、初産といった成長の節目となるタイミングを見極めやすくなります。体重の推移を確認しておけば、次の段階に進む時期を判断する目安になります。
- 飼料の量を調整しやすくなる
体重は、飼料の量を決めるうえでも役立つ情報です。体格に見合わない量の飼料を与え続けていると、無駄が生じるだけではなく、成長にも影響する可能性があります。体重を確認しながら、牛の状態に合わせて飼料の量を調整することが大切です。
- 健康状態の変化に気づきやすくなる
体重の変化は、健康状態を知る手がかりにもなります。順調に増えるはずの体重が伸び悩んだり、急に減ったりした場合には、病気や消化不良などの可能性もあります。定期的に体重を確認していれば、こうした変化にも気づきやすくなります。
牛の体重の測り方
体重の測定方法には、精度の高い設備を使うものから、身近な道具で手早く推定できるものまであります。ここでは、3つの方法を紹介します。
体重計で測る
実際の体重を測定するには、牛用の体重計を使う方法です。牛が乗って通り抜けるウォークスルー型や、床に設置するロードバー式などがあり、自動計測に対応したものでは、牛が体重計を通過する際に体重を記録できるため、日々の体重推移を効率よく把握できます。
巻き尺・体重推定尺で測る
体重計がない環境でも、手軽に体重を推定できる方法があります。胸まわり、いわゆる胸囲を測って体重を推定する方法です。
専用の体重推定尺を使う方法と、巻き尺で胸囲を測って早見表に当てはめる方法があります。やり方が違っても、胸囲から体重を割り出す原理は同じです。胸囲が大きい牛ほど体重も重くなる傾向があるため、胸囲は体重を推定する際の目安になります。
黒毛和種の子牛については、胸囲の測定値から体重を推定するための早見表が公的機関から公表されています。測定するときは、飼料を与えてから2時間以上経過した後に行うと、より正確な数値に近づきます。
出典:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構「黒毛和種子牛の胸囲-体重早見表」
スマホアプリで撮影して測る
近年は、スマートフォンで牛を撮影するだけで体重を推定できるアプリも登場しています。
丸紅株式会社が株式会社フツパーと共同で開発したアプリは、対応するiPhoneで牛を横から撮影するだけで、黒毛和種・交雑種・ホルスタイン種の体重を推定できるものです。光を使って距離を測るセンサー「LiDAR」で牛の形をとらえ、AI画像認識によって体重を割り出す仕組みです。
とはいえ、誰でもすぐに使えるわけではありません。2025年10月から試験提供が始まった段階で、対応機種はLiDARを搭載したiPhone 13 Pro以上に限られます。今後、体重測定の負担を減らす選択肢として広がる可能性があります。
出典:丸紅株式会社「牛の体重を推定するアプリの開発および試験提供開始について」
牛の体重が増えない・伸び悩む原因とは
体重の増え方が思わしくないときは、飼料・健康状態・気温という3つの観点から見直してみましょう。
飼料の栄養バランスが偏っていたり、体格に見合わない量しか与えられていなかったりすると、順調な増体は望めません。病気や消化器のトラブルも見逃せません。目に見える症状が出る前から、食欲の低下という形で体重に影響が出ることがあります。
見落とされがちなのが、気温の影響、とくに夏場の牛舎内の暑さです。牛は暑さに弱く、暑熱ストレスがかかると食欲が低下することがあります。食欲が落ちると、肉牛では飼料摂取量の低下によって増体が鈍り、乳牛では乳量が減少することが報告されています。
牛舎内の温度が上がりやすい原因のひとつが、屋根からの熱です。多くの牛舎で使われている金属製の折板屋根は、日射の影響を受けやすく、夏場には屋根自体が高温になることがあります。屋根が受けた熱は牛舎内にも伝わるため、空気を入れ替えるだけでは暑さを抑えられません。
牛舎の暑さ対策では、換気や送風などに加えて、屋根にも目を向けてみましょう。屋根からの熱の侵入を抑えることで、牛舎内で行う暑熱対策も効果を発揮しやすくなり、牛の増体停滞などを防ぐことにつながります。
湧蒼塗装研究所では、屋根や壁に遮熱塗料を塗布し、日射熱の吸収を抑えることで、牛舎内の温度上昇を抑える施工を行っています。遮熱塗料は、屋根や外壁に直接塗布するタイプの遮熱材です。牛舎に多い折板屋根にも密着しやすく、屋根全体を継ぎ目なく覆えるのが特徴です。
まとめ
牛の体重は、品種や月齢によって目安となる数値が大きく異なります。今回紹介した数値を参考に、自分が飼育している牛の状態と照らし合わせながら、成長段階や仕上がりを確認してみてください。体重を把握することで、牛の成長状態に合わせて飼料の量や与え方を調整しやすくなり、飼料の無駄を抑えることにもつながります。
体重は、一度測って終わりではなく、定期的に測定して変化を記録することが大切です。日ごろから体重の推移を確認しておけば、成長の遅れや体調の変化にも気づきやすくなるでしょう。
体重を管理し、長期的に増体を安定させるうえでは、暑さ対策も重要です。なかでも屋根の遮熱塗装は、牛舎内の温度上昇を抑え、暑熱ストレスを軽減する効果的な取り組みといえます。牛舎の暑さや遮熱施工について気になる方は、全国で豊富な施工実績を持つ湧蒼塗装研究所に、ぜひお気軽にご相談ください。